とても待ち遠しい催しのこと

以前にも書かせていただいたのですが
その美しさと、そこに深く込められた想いに魅せられ
日々の暮らしの中で大切にしているものがあります。

それは江戸時代から受け継がれた
日本で唯一の唐紙屋 唐長さんの唐紙です。

板木から一つ一つ手仕事で和紙に文様を写し取った唐紙は
襖紙や壁紙として、神社仏閣や歴史的建造物、個人邸にも用いられています。

何千年にもわたり世界を駆け巡り
先人たちより受け継がれた様々な物語や想いが込められた文様。
その文様を写した唐紙の美しさを、初めて目にした時の感動は
今も色あせることなく、ずっと心に残っています。



そんな唐長さんの唐紙師トトアキヒコさんの作品展が
東京 丸の内の相田みつを美術館で開催されます。




美術館の広い空間で拝見できるのが
今からとても楽しみです。



祇園祭を控えたある日の京都
唐長さんのご厚意により
アトリエにお邪魔させていただきました。

その日も展覧会に向けての制作中で、大変お忙しいところ
トトさん、愛子さんご夫妻をはじめ
唐長のスタッフの皆さまが出迎えてくださり
色々とお話しを伺うことができました。


アトリエには様々な唐紙の作品が展示されていて
お玄関を入った瞬間より
美しい唐紙の世界が広がっておりました。

無限に広がる色と文様の組合わせはどれも素敵で
どんな美術品を観るよりも贅沢な空間に思えました。

アトリエ雲母唐長さん → 



アトリエでは時を忘れそうでしたが
その後はいつもお世話になっているスタッフの方と
ゆっくりお食事を楽しみ養源院へ。

俵屋宗達の重要文化財『 唐獅子図 』で知られる名刹養源院。
手掛けられた同じく重要文化財の『 松図 』の襖修復唐紙
そして非公開の唐紙作品『 星に願いを 』を拝見することができました。

俵屋宗達の重要文化財と唐紙の二面で成り立つ襖
ただ単に美しいものではない
長い歴史と共に受け継がれた想いの重さを感じながら
身の引き締まる思いで、襖の前に座らせていただきました。



ご縁あって唐長さんの唐紙と出会い
生活の身近に感じることで
視覚的のみならず、心の奥底を豊かにする
唐長さんの作品には、そんな見えない力が潜んでいるように感じます。

人とのご縁も全て必然であると考えると
嬉しいことも、不快に思うことも
自分にとって必要なこと。
だからこそ出会えたことをとても幸せに思います。




展覧会のフライヤーと共に贈ってくださった
葵唐草のポストカード

小雨降る京都で過ごした緩やかな時間
久々にゆっくりとお休みを楽しんだ一日でした。


トトアキヒコさんのブログ → 
展覧会のことや日々のことなど綴っておられます






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久々に

先日まで開催されていた恩師の個展へ。
またしても最終日ぎりぎりでしたが
約2年振りに先生にお目にかかることができました。

年間に何件も開催されている展覧会。
その多くはグループ展ですが
このたびはお一人での開催とあって
長い作家活動の中で、古いもの新しいもの
バラエティーに富んだ作品の数々
広いギャラリー内、小作品も多数展示されていました。











作家でありながら、私達にとっては美術の先生でしたので
とても有名で勢力的な作家活動も
その頃は身近すぎて
側にいらしてくださることを当たり前のように感じていました。

そんな高校生の時代
あまり学校生活を楽しめず、必要最低限しか登校しない年もある中で
絵を描くことに、ひたすら取り組んだ時期でもありました。

今 振り返ると、教師よりも作家としての先生の感覚に
影響を受けたことが大きいように思います。

教師引退と共に作家活動に専念のため、米子でアトリエを開かれましたが
展覧会の度、こちらに出てこられるのが
とても楽しみなようです。




物部隆一展  画廊ぶらんしゅ にて


この日 先生の小作品を初めて頂戴いたしました。
かたちや方法は、まだまだ見えていませんが
自分で何かを生み出したいという思いが
この頃から変わらずにあります。

会期後、搬出作業を終えて
同期と先輩と先生を囲んでお食事会へ。
久々に嬉しい時間でした。

 

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” Life Works ”

本日が最終日の友人の個展へ

会場に着いたのは閉館時間ぎりぎりでしたが
ギャラリー内は沢山のお客様でした。

今回も2年前と同じく上本町の楓ギャラリーにて開催されました
Life  Works  2014  Vol.11   - 啓蟄 -



生涯にわたって続ける仕事 = Life Work という言葉に
” Life = 命 ” の ” Works = 作品群 ” という意味を加えて発表を続けています。

その作品はキウイのつると奈良県吉野地方に伝わる宇陀紙の手すき和紙を用いて
花・実・虫・巣など、人間が根源的にもつ
” いのち ” のイメージをかたちにしたものです。

今回のテーマは ” 啓蟄 ” 
土の中に届いた暖かい気配を感じて這い出してきた虫や
春の風に乗って飛ぶ 植物の種
そして呼吸する地面を表現した泡 など

和紙を貼っては乾かしを繰り返しながら
陶芸のように形を作っていく
それ故に作品の一つ一つに手から伝わる
温かみと強いエネルギーを感じます。




暦の上でも、まもなく啓蟄ですが
植物や虫や微生物などが動き始める見えないエネルギーに
私自身は力が負けてしまうようで、毎年パワーダウンする季節です。
そして自然の力は、人の力でかわせるものではないと改めて実感します。
だからこそ季節に寄り添い
そこから生まれる豊かな暮らしに感謝の気持ちがこみ上げます。





泡シリーズ



水をはった田んぼに、ぽこぽこ出てくる泡を表現した 泡シリーズ
毎回 表現を変えて発表されるのですが
私はこの泡の作品が一番好きです。




全て土にかえる自然素材を使用した柔らかなイメージの反面
強いエネルギーを感じる
今回もそのバランス感がとても心地よい空間でした。

仕事のかたわらで作家活動を続けている彼女と
約20年振りに再会したのは2年前のこと。

その20年間、私は仕事のみで精一杯で
作品を生み出すことからは離れてしまったけれど
” Life Work " としては
少し見つけることができたように思います。




彼女のこれからの活躍が益々楽しみです。





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豊かな時間

先日 母と参加したワークショップ
近頃 大切に身につけている 『 文様 』
そんな文様をうつし取る唐紙づくりを体験してきました。

江戸時代から伝わる 日本で唯一の唐紙屋 唐長さん
その11代目当主の長女 千田愛子さんと
唐紙師のトトアキヒコさん ご夫妻により開催されました。


最初は料紙 ( 写経など字を書く紙 ) として利用されていた唐紙
その見た目の美しさから
いつしか観賞用として、襖などで楽しまれるようになったそうです。

先祖代々伝わる650種もの版木
その文様の中には、とても洗練されたシンプルモダンなものも多く
昔の人の発想とは思えない驚きがあります。


この日 お持ち下さった版木は、兎と蘭の花の2種類で
母と1種類ずつ作らせていただきました



トトさんにマンツーマンでお話しを伺いながらの作業

好きな色の和紙を選び文様をうつし取ります

こちらは色材を刷毛で塗ったふるい(ガーゼをはったうちわのようなもの)で
版木に色をうつしているところです

次に版木に紙を置き、手の平で撫でて紙に色をうつし取ります



文様の柄にはそれぞれに意味があり
そして その意味には想いや願いが込められています。

手の平で撫でて紙に色をうつす独特の工法によって
手の平から伝わるぬくもりと同時に、想う心も合わさってうつし出され
奥行と温かみのある作品になります。





最後に愛子さんがそれぞれの唐紙に合わせて額を選んでくださいました

こちらは私が作った 『 蘭の花 』
この文様には富貴の意味があります

自分自身は全然 富貴ではありませんが・・・

大好きなブルーの紙にうつした蘭の花はとても美しく
眺めていると不思議に心落ち着きます。



美術館や神社仏閣、公共施設や個人邸まで
幅広く作品を納められている唐長さん

一枚一枚が手作業で
贈る相手を想いながら、念じるように紙に色をうつしとることで
文様の柄に願いを込めておられる

それはとてもシンプルで
だからこそ 研ぎ澄まされた中から生み出される作品です

そんな唐紙の魅力を
直接お話しを伺い、また自分自身で触れて
より実感することができました。

この日 初めてお目に掛かった唐紙師のトトアキヒコさんは
穏やかで、そこはかとなく深く大きな湖のような方でした。


人と人のご縁のように、文様ともご縁があり
自分が選んでいるようで
実は文様に選ばれているのかもしれません
そんな神秘的なことがあるように思います。



庭をつくることにおいて
お施主様の想いを受け取って
自分なりの想いを形にして贈る

お施主様は出来上がったものを目にして
喜んで下さったり、感動してくださったり・・・
きっと その奥底には目に見えない
スピリチュアルなものがあると思います。

形あるものは殆どのものが、どんどん変化していく
でも そこには、変わらない想いや願いがあるでしょう。

作り手の想いとお施主様の想いが
変わり続けるものに
より一層の愛着と味わいを与えているように思います

そんなことを改めて感じた体験でした。


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森へ

ガーデンデザインオフィス萬葉の北谷さんが参加されたイベント
『 住まいが森に。森が住まいに。 』展に行って来ました。

こちらはニワプラスでいつもお世話になっております
作庭家の北谷さんが、建築家、家具デザイナーの方と
3人で開催された展覧会です。










天井まである樹木や幹のディスプレー

「 建物と庭 」「 内と外 」の関係よりも
もっと植物や自然との距離が縮まり
まるで森の一角を切り取ったような空間でした。

体に触れる距離にある 植物の瑞々しさと艶やかさが
子供の頃見つけた秘密の場所のような
何とも言えないわくわく感、同時に安心感もあり
とても懐かしい記憶の中のことのようにも思えます。


現実のこととすると
室内に取り込む緑に対して、まず成長や管理のことを考えます。
そうなるとやはり距離感を感じてしまいますが
それぞれが望む植物との距離を
改めて考える機会になりました。




こんな可愛い棚やテーブルがお庭にあると楽しいですね
ラフなラインに心が和みます





お庭の手入れに伺った時
お庭の植物が楽しそうに見えることがあります

それは きっと
環境だけではなく、お客さまの想いも伝わってのことでしょう。

以前に拝見させていただいた 北谷さん作庭のお庭
植物だけでなく据えられた石にまで
まるで心があるように感じられる
お庭にいるとその色んな声が聞こえてきそうな
楽しみある空間でした

その時抱いた感覚がこの空間でも感じられ
ついつい長居を・・・
そしておしゃべりを・・・

まずは作り手が楽しんでおられる
連鎖するその想いに癒された時間でした。





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唐紙

最近 大切にしているもの
それは文様です

文様は世界各国にあり
シルクロードを渡って伝えられた世界的背景のあるもの
そして日本独自に洗練されたもの


普段 何気なく眺めていた
寺院や茶室などの襖にも、そんな文様が使われています。

ちょっとしたご縁から、京都に江戸時代から伝わる京唐紙と出会いました。



唐紙は和紙に雲母(キラ)や絵具を使って、文様を版画したものですが
火事などで板木が燃えてしまい
今では唯一、唐長さんだけが受け継いでおられるようです。


文様には、それぞれに意味があり
多くは縁起の良いものですが
古くから多くの人によって、大切に受け継がれ続け
山や川、空、木々の色など、自然や植物を映したものが多く
どこか庭をつくる仕事に通じるものを感じています。

また版画の様子が、日本画を描くのと似ていることも
興味深く感じたことの一つです。
そして何よりも、古くから伝わるものに触れられることを幸せに思います。


自分が大切に思える 身近に置いておくと安心できる
自分をつくる物や場所などが
少しずつ増えてきたように思います。

身につけるものも もちろん大切なものの一つですが
最近になって選ぶということが
明確になってきたようにも感じます。




モザイクやタイルのような幾何学的魅力
連続性から幸せが四方八方に繋がるともされる文様
自然や植物と繋がるだけでなく、人と人とをも繋ぐ文様

お庭もそんな文様のように
様々な幸せが広がり続ける場になるよう願い
人と人とのご縁も途絶えることのないように願います。






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追伸

昨晩 恩師と同級生が出展する展覧会に伺いました。
残念ながら、ご本人にはお目に掛かれなかったものの
非日常的な空間で、感性を刺激されるひとときでした。

『 100P.S. 』 と題した この展覧会は
50名の作家が2点ずつを出展する、全100点の作品展です。

『 P.S. 』 は追伸を意味し
それは 言葉通り、手紙の本文にさらに書き加える短い文です。

本文では上手く表現できなかったこと
後になって思い出した大切な事柄や今なら書けること
あるいは そっと伝えたいこと・・・

それぞれの思いが 『 追伸 』 となって現れるとき
受け手は、そのメッセージを通して
送り手の表情に一歩近づけたりします。




恩師であり現代美術作家  物部 隆一先生の作品
壁面 シルクスクリーン、コラージュ ・ 卓上 木、アクリル絵画


 



この100作品は50名が綴る、それぞれの 『 追伸 』

20代から70代の方まで、幅広い年齢層の終結です。
もちろん 作品を観ていても、そんな年齢の違いは感じられませんが
いずれの作品も 『 追伸 』 のイメージを膨らませると
その余韻までも感じられる作品でした。




絵画、音楽、舞台、そして庭も
作品を観る、受け取る側の力量を問われる
そこに正解はないけれど
受け取る側の感受性によって、その心に残る深さが違うように思います。

人それぞれに感じ方があって、どれもが素晴らしいことだと思います。
そしてそこに、イメージする楽しみもあり
心がちょっと豊かになったような気分になります。


悩み考えている時、ふと観た映画のセリフが心に突き刺さる時があります。
そんな時はやっぱり答えを探しているから
自然に心に入ってくるのだろうか・・・

どんな時も心をニュートラルに
自然にいっぱい受け入れられる心でありたい

長年にわたりアートに向き合う
先生の作品に会うたびに、そう思います。


そしてこの作品展では、先生と並んで出展した同級生がいます。
彼女も仕事と両立させながら、20年近く活動し
このたび恩師と共に出展しています。

これもまた素晴らしいことと思います。
作品展の中では、先生も生徒もありませんが
彼女の中にも、私と同じように
自分のルーツの中に恩師があるのです。



谷町6丁目の楓ギャラリーにて
2月16日まで開催の 『 100P.S. 』 

楓ギャラリーのブログで紹介されています →  






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